兵庫県川西市の税理士 島田税理士事務所 税務・経理・資産運用のよろず相談所 

改正税法要旨

令和4年度税制改正 法人税

1.積極的な賃上げ等を促すための措置

(1) 大企業(現行:人材確保等促進税制)
積極的な賃上げを促す観点から、継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%を税額控除できる制度とされます(2年間の時限措置)。その際、一定規模以上の大企業に対しては、マルチステークホルダーに配慮した経営への取組みを宣言していることを要件とします。
  改正前  改正後 
【適用要件】     
 ■給与総額の増加率 新規雇用者の給与総額:
     対前年度増加率2%以上
 継続雇用者の給与総額:
   対前年度増加率2%以上    
 ■マルチステークスホルダーへの配慮(注1)    従業員への還元や取引先への配慮を行うことを宣言していること
 【税額控除】  〔控除率最大20%〕   〔控除率最大30%〕
 ■控除率を乗ずる対象  新規雇用者の給与総額  雇用者全体の給与総額の対前年度増加額
基本  15%  15%
上乗せ(賃上げ)    +10% 継続雇用者の給与総額:
 対前年度増加率4%以上
上乗せ(教育訓練費)  +5%教育訓練費の対前年度増加率20%以上(注2)  +5%(注3)教育訓練費の対前年度増加率20%以上
 ■控除上限額  当期の法人税額×20%  (変更なし)
(注1)資本金10億円以上、かつ、常時使用従業員数1,000人以上の大企業に対する要件とし、自社のウェブサイトに宣言内容を公表したことを経済産業大臣に届出。
(注2)確定申告書に教育訓練費の明細書の添付(改正後明細書の保存)が必要
(注3)控除率10%の上乗せ措置の適用を受けない場合は、合計20%

(2) 中小企業(現行:中小企業向け所得拡大促進税制)
中小企業全体として雇用を守りつつ、積極的な賃上げや人材投資を促す観点から、控除率の上乗せ要件を見直すとともに、控除率を最大40%に大胆に引き上げた上で、適用期限が1年延長(令和6年3月31日)されます。
  改正前   改正後 
【適用要件】     
 ■給与総額の増加率 雇用者全体の給与総額:
     対前年度増加率1.5%以上 
(変更なし) 
 【税額控除】  〔控除率最大25%〕    〔控除率最大40%〕
 ■控除率を乗ずる対象 雇用者全体の給与総額の対前年度増加額  (変更なし)
基本  15%   15%
上乗せ(賃上げ)  +10% 雇用者全体の給与総額:
対前年度増加率2.5%以上
+15% 雇用者全体の給与総額:
 対前年度増加率2.5%以上
上乗せ(教育訓練費)  +10%(注2) 教育訓練費の対前年度増加率10%以上  
教育訓練費増加等の要件の充足(注1)
 ■控除上限額  当期の法人税額×20%  (変更なし)
(注1)教育訓練費増加等の要件:次のいずれかの要件
①教育訓練費の対前年度増加率10%以上 
 ↪確定申告書に教育訓練費の明細書の添付(改正後:明細書の保存)が必要
②中小企業等経営強化法の認定経営力向上計画における経営力向上の証明(改正後:廃止)
(注2)控除率15%の上乗せ措置の適用を受けない場合は、合計25%

(3) 適用時期
上記の改正は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます。

2.オープンイノベーション促進税制の拡充

特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限が2年延長されます。

(1) 出資の対象となる特別新事業開拓事業者の要件のうち設立の日以後の期間に係る要件について、売上高に占める研究開発費の額の割合が10%以上の赤字会社にあっては、設立の日以後の期間を15年未満(現行:10年未満)とされます。

(2) 対象となる特定株式の保有見込期間要件における保有見込期間の下限及び取崩し事由に該当することとなった場合に特別勘定の金額を取り崩して益金算入する期間を、特定株式の取得の日から3年(現行:5年)とされます。

(3) 上記の改正は、令和4年4月1日から適用されます。
(注)特定事業活動に係る証明の要件のうち特定事業活動を継続する期間についても、3年(現行:5年)とする。

3.5G投資促進税制

認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、次の見直しを行った上、その適用期限が3年延長されます(所得税についても同様)。

(1) 特定高度情報通信技術活用システムの適切な提供及び維持管理並びに早期の普及に特に資する基準について、次の見直しが行われます。

① 特定基地局が開設計画に係る特定基地局(屋内等に設置するもの及び5G高度特定基地局を除く。)の開設時期が属する年度より前の年度に開設されたものであることとの要件を廃止し、5G高度特定基地局が加えられます。

② ローカル5Gシステムについては、導入を行うシステムの用途がローカル5Gシステムの特性を活用した先進的なデジタル化の取組みであるものに限定されます

③ 補助金等の交付を受けたものが除外されます。

(2) 特定高度情報通信技術活用システムを構成する上で重要な役割を果たすもののうち、3.6GHz超4.1GHz以下、4.5GHz超4.6GHz以下、27GHz超28.2GHz以下又は29.1GHz超29.5GHz以下の周波数の電波を使用する無線設備の要件について、次の見直しが行われます。

① 3.6GHz超4.1GHz以下又は4.5GHz超4.6GHz以下の周波数の電波を使用する無線設備に、多素子アンテナを用いないものが加えられます。

(注)上記の改正は、過疎地域その他の条件不利地域(以下「条件不利地域」という。)にあっては令和4年4月1日以後に事業の用に供するものについて適用し、その他の地域にあっては令和6年4月1日以後に事業の用に供するものについて適用されます。

② マルチベンダー構成のものに限定されます。

③ スタンドアロン方式のものに限定されます。

(3) 税額控除率が次のとおり見直されます。

① 令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に事業の用に供したもの 15%(条件不利地域以外の地域内において事業の用に供した特定基地局の無線設備については、9%)

② 令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に事業の用に供したもの 9%(条件不利地域以外の地域内において事業の用に供した特定基地局の無線設備については、5%)

③ 令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に事業の用に供したもの 3%


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