兵庫県川西市の税理士 島田税理士事務所 税務・経理・資産運用のよろず相談所 

改正税法要旨

平成31年度税制改正 法人税

1.試験研究費の税額控除制度の見直し

試験研究を行った場合の税額控除制度について、次の見直しが行われます。

(1) 試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率を次のとおり見直した上、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限が当期の法人税額の40%(現行:25%)に引き上げられます。
@ 増減試験研究費割合が8%超 ・・・9.9%+(増減試験研究費割合−8%)×0.3
A 増減試験研究費割合が8%以下・・・9.9%−(8%−増減試験研究費割合)×0.175
(注1)上記の「研究開発を行う一定のベンチャー企業」とは、設立後10年以内の法人のうち当期において翌期繰越欠損金額を有するもの(大法人の子会社等を除く。)をいいます。
(注2)上記@については、10%が上限(現行と同じ。)。
(注3)上記Aについては、6%が下限(現行と同じ。)。

(2) 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税額の上限の上乗せ特例について、次のとおり改組した上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長されます。
@ 試験研究費の総額に係る税額控除制度における控除税額の上限(当期の法人税額の25%又は40%)に、当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%を上限とする。)を乗じて計算した金額が上乗せされます(現行と同じ。)。
A 試験研究費の総額に係る税額控除制度における税額控除率は、上記(1)@及びA並びに(注3)により算出した率に、その算出した率に控除割増率を乗じて計算した率を加算した率とされます。
(注)上記の「控除割増率」とは、試験研究費割合から10%を控除した割合に0.5を乗じた割合(10%を上限とする。)をいいます。

(3) 試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率(上記(1)及び(2)A)の上限を14%(原則:10%)とする特例の適用期限が2年(令和3年3月31日まで)延長されます。

(4) 中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が5%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例に見直した上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長されます。また、上記(2)Aと同様に、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合に税額控除率を割り増す措置が講じられます。

(5) 特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しが行なわれます。
@ 対象となる特別試験研究費の額に、次の要件を満たす企業間の委託研究に要する費用の額を加え、その税額控除率を下記Bを除き20%とされます。
イ 受託者の委託に基づき行う業務がその受託者において試験研究に該当するものであること。
ロ 委託に係る委任契約等(契約又は協定で、委任又は準委任の契約その他これに準ずるものに該当するものをいう。)において、その委託して行う試験研究の目的とする成果をその委託に係る委任契約等に基づき委託法人が取得するものとされていること。
ハ 次のいずれかを満たすこと。
(イ)委託して行う試験研究が委託法人の基礎研究又は応用研究であること。
(ロ)委託して行う試験研究が受託者の知的財産権等を利用するものであること。
ニ 委託に係る委任契約等において、その委託に係る試験研究が委託法人の工業化研究に該当するものでない旨又は受託者の知的財産権等を利用するものである旨その他一定の事項が定められていること。
A 特別試験研究費の対象となる国の指定を受けた医薬品等に関する試験研究について、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正を前提に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所からの助成金の交付を受けて行う特定用途医薬品等に関する試験研究を加えるとともに、その助成金の交付を受ける法人の常時使用従業員数が1,000人以下であることとの要件が設けられます。
(注)上記の「特定用途医薬品等」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の特定用途医薬品、特定用途医療機器及び特定用途再生医療等製品のうち、その用途に係る対象者の数が本邦において5万人未満であるものをいいます。
B 研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への上記の委託研究に係る税額控除率が25%とされます。
(注)上記の「研究開発型ベンチャー企業」とは、産業競争力強化法の新事業開拓事業者でその発行する株式の全部又は一部が同法の認定ベンチャーファンドの組合財産であるものその他これに準ずるものをいいます。
C 控除税額の上限を当期の法人税額の10%(現行:5%)に引き上げられます。
D 特別試験研究費のうち大学等との共同研究に係る費用について、研究開発のプロジェクトマネジメント業務等を担う者の人件費の適用が明確化されます。

(6) 上記(2)の改組に伴い、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度が廃止されます。

(注)上記の改正は平成31年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。

2.中小法人等に係る軽減税率の特例の適用期限の延長

中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限が、令和3年3月31日開始事業年度まで2年延長されます。
 (年800万円以下の所得金額に対する法人税率を15%とする制度。)

3.中小企業投資促進税制の見直し・延長

(1) 中小企業投資促進税制の適用期限が令和3年3月31日まで2年延長されます。
 (特定機械装置等の取得をした場合に30%の特別償却又は7%の税額控除が出来る制度。)

(2) 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、特定経営力向上設備等の範囲の明確化及び適正化を行った上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長されます。 (特定経営力向上設備等の取得等をした場合に即時償却又は7%の税額控除が出来る制度。)

(3) 商業・サービス業・農林水産業を営む中小事業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(店舗改修などの設備投資を行った場合に30%の特別償却又は7%の税額控除が出来る制度)について、経営改善設備の投資計画の実施を含む経営改善により売上高又は営業利益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて認定経営革新等支援機関等の確認を受けることを適用要件に加えた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長されます。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に取得等をする経営改善設備について適用する。なお、同日前に交付を受けた経営改善指導助言書類に係る経営改善設備のうち同年9月30日までに取得等をしたものについては、上記の確認を受けることを不要とする経過措置が講じられます。

4.中小企業向け防災・減災設備投資促進税制の創設

青色申告書を提出する中小企業者のうち中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和3年3月31日までの間に、その認定に係る事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画に基づく防災・減災設備を取得してその事業の用に供した場合、その取得価額の20%の特別償却ができることとされます。

(注1)上記の「中小企業者」とは、中小企業等経営強化法の中小企業者であって租税特別措置法第42条の4第8項第6号の中小企業者その他これに準ずる法人に該当するものをいいます。
(注2)上記の「特定事業継続力強化設備等」とは、中小企業等経営強化法の事業継続力強化設備等(仮称)として認定事業継続力強化計画又は認定連携事業継続力強化計画(仮称)に記載された機械装置、器具備品及び建物附属設備のうち、一定の規模以上のものをいいます。
(注3)上記の「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいいます。
@ 機械装置・・・1台又は1基の取得価額が100万円以上のもの
A 器具備品・・・1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
B 建物附属設備・・・一の取得価額が60万円以上のもの


5.解約返戻金が相当多額である場合の定期保険等の取り扱いの改正

法人が契約者で、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険で最高解約返戻率が50%を超えるものの保険料を支払った場合には、当期分支払保険料の額については、次表に定める区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとされます。ただし、これらの保険のうち、最高解約返戻率が70%以下で、かつ、年換算保険料が30万円以下の保険に係る保険料を支払った場合については、その保険料を損金の額に算入しているときはこれが認められます。

(1)当該事業年度に次表の資産計上期間がある場合には、当期分支払保険料の額のうち、次表の資産計上額の欄に掲げる金額は資産に計上し、残額は損金の額に算入する。

(2)当該事業年度に次表の資産計上期間がない場合には、当期分支払保険料の額は、損金の額に算入する。

(3)当該事業年度に次表の取崩期間がある場合には、当期分支払保険料の額(1)により資産に計上することとなる金額を除く。を損金の額に算入するとともに、(1)により資産に計上した金額の累積額を取崩期間の経過に応じて均等に取り崩した金額のうち、当該事業年度に対応する金額を損金の額に算入する。

区 分  資 産 計 上 期 間  資 産 計 上 額  取 崩 期 間 
最高解約返戻率50%超70%以下 保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで  当期分支払保険料の額に100分の40を乗じて計算した金額 保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで 
最高解約返戻率70%超85%以下 当期分支払保険料の額に100分の60を乗じて計算した金額
最高解約返戻率85%超 保険期間の開始の日から、最高解約返戻率となる期間の終了の日まで

(注)上記の資産計上期間が5年未満となる場合には、保険期間の開始の日から、5年を経過する日まで(保険期間が10年未満の場合には、保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の50相当期間を経過する日まで)とする。
当期分支払保険料の額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間の開始の日から、10年を経過する日までは、100分の90)を乗じて計算した金額 解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間経過後から、保険期間の終了の日まで

(注1) 最高解約返戻率とは、その保険の保険期間を通じて解約返戻率(保険契約時において契約者に示された解約返戻金相当額について、それを受けることとなるまでの間に支払うこととなる保険料の額の合計額で除した割合)が最も高い割合となる期間におけるその割合をいう。

(注2 )年換算保険料相当額とは、その保険の保険料の総額を保険期間の年数で除した金額をいう。

(注3) 保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とする。

※上記規定は令和元年7月8日以降の契約について適用されます。

(法基通9-3-5の2)

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